高血圧

高血圧とは

血圧はちょっとした動作や緊張などによって日常的に大きく変動しますが、高血圧は常に高い血圧が続いている状態です。日本において、高血圧は最も患者数の多い生活習慣病と考えられていて、50歳以上の3~4人に1人が高血圧にかかっていると報告されたこともあります。高血圧は全身の血管に大きな負担をかけ続けて動脈硬化を進行させる代表的な生活習慣病です。動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞などのリスク上昇に加え、脳出血のほとんどは高血圧によって発症するとされていますので、血圧は適切なコントロールを行うことが重要です。

血圧と降圧目標値

血圧は心臓から送り出された血液が動脈壁にかける圧力のことです。血圧を測ると2種類の数字が表示されますが、数字の大きい方は心臓が収縮して血液が送り出された際の圧力が最も大きい血圧で、小さい方は心臓が拡張して圧力が最も低くなった血圧です。大きな数字は収縮期血圧、小さい数字は拡張期血圧と呼ばれています。
高血圧治療ガイドライン(2019年4月発表)では、降圧目標値を下記のように示しています。

糖尿病や腎臓病などの合併症がない場合
  • 75歳未満 130/80mmHg
  • 75歳以上 140/90mmHg

血圧は変動するものなので、1度この数値以上の血圧になったからすぐ高血圧と診断されるわけではありません。健康診断などで高血圧を指摘されたら、早めに受診してしっかり診察を受けることが重要です。

高血圧症の症状

かなり進行しても高血圧は自覚症状に乏しく、ほとんどの患者様は健康診断などで血圧の高さを指摘されてはじめてご自分の血圧が高いことに気付きます。
自覚症状として、頭痛、めまい、耳鳴りなどが現れることがあり、かなり進行すると動悸・呼吸困難・胸痛・むくみなどを起こすこともあります。ただし、こうした症状は幅広い疾患によって起こっている可能性もあります。


高血圧の合併症

血管に強い圧力がかかり続けると、動脈が柔軟性・弾力性を失って硬くなり、同時にもろくなってしまいます。血管の柔軟性が失われると血管壁が十分にふくらまないため血管壁への圧力が増してさらに血圧が高くなります。また、血管への負担が大きくなるに連れて、脳血管疾患の脳出血・脳梗塞、心臓疾患の狭心症・心筋梗塞、腎臓疾患の腎硬化症・腎不全など、深刻な病気の発症・進行リスクが上昇してしまいます。
高血圧も早期発見により楽な治療で正常な状態に戻しやすく、コントロールをしっかり行うことで危険な合併症を効果的に防ぐことができます。


高血圧症の原因

高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧という2タイプに分けられます。二次性高血圧は、血圧を上昇させる原因がはっきりしていて、その治療によって高血圧も改善に向かいます。原因には、腎性、内分泌性、血管性の疾患が関わっていることが多く、また治療のために服薬している薬の影響で血圧が高くなる場合もこのタイプに含まれます。
本態性高血圧は日本人に多く、高血圧全体の9割を占めています。いくつかの原因によって発症しますが、その多くが高血圧になりやすい遺伝な要素があって、さらに生活習慣などの影響が重なって発症していると考えられています。生活習慣では、塩分の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などが月圧を上昇させる主な要因とされています。</p

高血圧症の治療

本態性高血圧症か二次性高血圧症かをまず確かめ、二次性高血圧症の場合には原因疾患の治療が必要です。その上で高血圧の重症度、合併症の有無をしっかり確認して、治療方針を立てていきます。
治療を始める前に、家庭で毎日血圧を計測して記録できるよう、血圧計を購入しましょう。現在は精度の高い信頼できる血圧計を安価で入手しやすくなっています。毎日決まった時間に測ることで普段の血圧を把握しておけば治療効果も実感しやすくなります。
治療では、生活習慣の改善が最も需要です。減塩、減量と適正体重のキープ、軽い運動の習慣化などは合併しやすい他の生活習慣病予防や進行防止にも役立ちます。必要があると判断されたら薬物療法を行いますが、その場合も生活習慣の改善は必ず続けるようにしてください。

生活習慣の改善

ストレスを上手に解消し、休息や睡眠を十分にとってください。入浴は血行を改善して血圧を下げる効果が見込めます。ただし、熱いお湯に入るなど急激な温度差は厳禁です。

お酒やタバコについて

アルコールはごく少量では血圧を下げますが、大量に摂取すると血圧が上がってしまいます。1日にビール中びん1本(日本酒なら1合)の適量を守りましょう。
なお、ニコチンは血管を収縮させるため、高血圧の場合は禁煙が不可欠です。

運動療法

30分程度のウォーキングなど、軽い有酸素運動を習慣にしてください。週に3回以上はこうした軽い運動を行う必要があります。目安として脈拍が100~120になる程度の運動が適切です。また、無理のない範囲で続けることが重要です。

食事療法

減塩とカロリー制限を中心に行います。食塩を過剰に摂取すると塩分を薄めるために大量の水分をとってしまうため、血液量と心拍数が増え、末梢血管への圧力が上昇して血圧が上がります。さらに食塩に含まれているナトリウムが血管を収縮させるため、これによっても血圧が上がります。1日の摂取食塩量は6mg未満を目標にします。ただし、素材自体にも塩分が含まれているため、調味料として使用できるのはさらに少なくなります。香辛料や旨味などで工夫して減塩を続けていきましょう。

薬物療法

高血圧の状態だけでなく、合併症の有無やその状態などを含めて薬物療法が必要かどうかを総合的に判断します。様々な降圧薬があるため、患者様の状態やライフスタイルに合わせた適切な処方を行います。最初はおだやかな薬剤を処方して経過を観察し、処方の調整を行いながら最適な処方にしていきます。なお、減薬や休薬は、必ず医師と相談して行うようにしてください。自己判断で減薬・休薬してしまうと状態を悪化させて深刻な合併症を突然起こすリスクが上昇してしまいます。
また、生活習慣改善などによって服薬が必要なくなるケースもありますが、その場合も血圧が再び変動する可能性があり、合併症を起こすリスクはゼロにはなりませんので、しっかり毎日血圧を測って定期的に受診し、経過観察が必要です。

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